年配者は濃い味付けを好む。だから、全く体に悪くなく、しかも歯が無くても食べられる調理法で作るんだ。薄味なのに、濃味だと錯覚させる。柔らかく、かつ歯ごたえもあるような食感を出す。このへんのところは、食材と包丁と鍋と火と、相談して作るんです。レシピじゃないのです。
それで、まあ、宴会は盛り上がった。聞けば3人は姉妹、それに親族の嫁に来た人が1人の仲良し4人組。この湯治場に時々来て楽しんでいるんだそうな。「息子みたいな人だなぁ~」って言われた。宴もたけなわになった時、カラオケに行くべぇとなった。近くにあるカラオケスナックに歩いて行った。カラオケなんて20年ぶりだった。うどんさんは「日本歌謡曲史」も勉強してきたので、明治時代~昭和の歌謡曲を殆んど知っている。どんと来い、カラオケである。音楽をやっていたので、一回聴けば、たいていの曲のメロディは覚えられた。戦後の歌手で特に好きなのが、宮史郎と吉幾三。お願い わたっしを~ 捨~てぇないで~♪
十八番(おはこ)という歌などないのだが、ベルカント唱法も浪曲の歌い方も出来まする。下手だけどね(*^^)v そういえば、ロックバンドやってる時は、「ウイーン少年合唱団みたいな声だから」という理由で、ボーカルをやらせてもらえなかった(/_;)
上北町(現・東北町)にある「玉勝温泉」の先代社長さんは、むかし音楽の先生をやっていた。週に一度、銭湯の2階の大宴会場で無料のカラオケ大会を開催していた。町の人に、すごく人気があって盛り上がっていたという。僕は、これに1度も行った事がなく、今も後悔している。
先代さんの時から、「玉勝温泉」の湯治料金はオール込みで1泊2.000円だった。上北駅から1分30秒の全館床暖房温泉で、この料金。2代目さんになって、カラオケ大会は無くなったが、宿代は2.000円のままである。消費税込みでだ。消費税が10%になっても、オール込み2.000円でやるという。慈善事業みたいなもんだね。僕は温泉場は200ヶ所ぐらい歩いてきたが、ここの泉質はなかなかのものだ。47・3度のアルカリ性単純泉と分類されるが、ナトリウムのほかに炭酸水素と硫酸成分がけっこう多く、それが玉勝温泉の味を出している。銭湯・湯治場とも床暖パイプをくぐって適温になった源泉100%の かけ流し。シャワーのお湯も、カランのお湯も源泉100%。ただし夏場は地下水を加えて湯温を下げる。風呂の水も水道水ではなく、地下水だ。佳い温泉の条件がそろっている。
玉勝温泉の前身というのが、じつは今の湯治場浴場だったそうだ。小さな銭湯だった。それが三沢の小牧温泉から始まった新温泉ブームの時、新たに地下を600メートル以上掘削して、大きな泉源を掘り当てた。道路の向かいの田んぼを買収して、現在の大銭湯を作ったと聞いた。ちなみに三沢と東北町の数ある銭湯は、すべて天然温泉の、かけ流し。どこも良い温泉だ。入湯料金も、八戸市の水道水銭湯の半額くらいの所が多い。
青森は温泉王国だが、一番好きなのが八甲田の谷内(やち)温泉。2番目が下北・風間浦(かざまうら)村の共同浴場・大湯と新湯。3番目が津軽・湯段温泉の「ゆだんの宿」の温泉。個性豊かな温泉が多い。玉勝温泉は4番目に好きだなぁ~。
ところで、「玉勝」とは、この地に伝わる伝説の「玉代姫と勝世姫」の事だ。話の原型は、もしかしたら室町時代には出来ていたのかもしれない。紙に書かれたものではなく、口承文芸である。世をはかなんで、行方不明になった父を探しに、京都から姉妹が北上を続け上北町までやってきて、ここの湖に入水(じゅすい)自殺するというもの。その話は江戸時代後期になって、口承文芸特有の色んな継ぎ足しが加わっていき、今の形になったと思われる。増築・改造だらけの住宅みたいなものだ。(この説を唱えているのは、うどんさんだけ)姫は大蛇に変身して沼の主のワニ鮫と3日3晩戦うというストーリーが付け加えられ、ハチャメチャになり、岡田あーみんが書く漫画みたくなった。
ああ、岡田あーみん・・・日本人初の美少女漫画家(作家が美少女という意味)と言われた、変態少女漫画の女王様。どどーーーん!
おまけ。これが玉代姫と勝世姫像(小)。ゆるやかなS字型の台座は、ふたりの没した小川原湖と姉沼の地形を表しているんだと思う。そして小川原湖湖畔には、大きなコケシ型の「玉代姫と勝世姫」木製像と、十和田湖「乙女の像」にライバル意識を持って造ったのであろう銅像が鎮座してありまする。
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