でも、まぁ、時代が下ってみれば、そんな事に拘(こだわ)る人もいなくなる。明治は遠くになりにけり。悪くも、良くもね。ただ、昔から変わらないのが、ここは瀬戸内が満たす土地と 女性的なる山々と、それらを抱(いだ)いている平野、そして平野を守る溜池群からなっているという事だ。
撮影 かねしげさん みさちゃん
衣装製作・画像処理 松永亜矢香
コスプレイ あやか(香川)
Special thanks to 香川の猫ちゃん・アオバズクさん
音楽 ナシ族新歌謡「ダングー・ヤオ」
歌手 ダポ・マージ
言語 マンダリン
制作 つめたいうどん(青森)
本州から船で香川に渡ったなら、最初に目に入るのは五剣山だが、瀬戸大橋線で海峡を越えたら、出迎えてくれるのは、ため池群に逆さ富士を映す、飯野山の美麗な姿である。
(丸亀市・坂出市に跨がる飯野山)
「神サマが降りてくる山だね」ぼくは飯野山を初めて見た時、こう感じた。
香川には、このような「こんもりした山」が多い。海洋プレートが四国南部を押し上げてくるから、北部は海に溺れてく。この造山運動が陸地にも作用し、香川の美しい山々を造っているんだ。
飯野山を観ながら 「はやくここで暮らしたい」と、ムショーに思った。
そして中古住宅物件を探して歩いた。香川で暮らせるようになるのは、まだ10年以上先の話なのに。ああ、のっけから乱れている。気が昂っている。
(奥の家屋と軽自動車が香川っぽい)
丸亀市塩屋町 5DK一戸建て。340万円。築年月、50年12月。あ、これ、いいかも。。。いや、まいねまいね(ダメだ) 丸亀競艇場のスグそばだ。わいはぁ~、恐ろしじゃ恐ろしじゃ。うどんさんはギャンブル命の人だから、ハマれば手がつけられない。でも、亜矢香さまに「うどんちゃん、ギャンブルやめてね」って言われたなら即刻やめる。あ~、酒もタバコもやめる。でもでも、言ってもらえないので、好き勝手している。嗚呼・・・
(あ、全艇フライングだ。レース中止)
廻れば四国は ウインズ ボートピア ケイリン
高知の土佐競馬
いちど嵌(はま)れば・・・オケラだよ」
旅の途中、素寒貧(すかんぴん)になってしまったら、坂出「がもう」の130円うどんさえ食えなくなっちまう。オレは何しに香川に来た?
(うどん屋「がもう」の入り口左側に掲げてある価格表。ジャンクうどん以外では香川県最安値かも)
気を取り直そう。まずは、仲多度郡の琴平公園へ。だが象頭山を観れば、舟券売り場に流れる曲が頭に流れる。
「まわれば 四国は
讃州(さんしゅう) 那珂の郡(なかのごおり) 象頭山(ぞうずさん)
ところが最近 大久保諶之丞の銅像を見ると讃岐缶詰の「磯吉ジャム」が頭に浮かぶんだな。140グラム、小さな瓶で864円。この品質で、この価格なら大満足。苺に小原紅みかん(香川だけが栽培してる)、それに金時人参と無花果(いちじく)の4種類。この人 渡辺磯吉さんでしょ?真ん中の、和服を着た人は。讃岐缶詰の創立者。巨大銅像を私費で建てた、大久保諶之丞の研究者。ああ、「磯吉ジャム」をパンさ付けで食いてぇじゃ。ヤマザキの「うんこパン」(と、危険添加物使用食品の本に書いてあった)じゃなくて、自分で焼いたパンさつけで。(オレは気骨に触れたのか?)
何のかんのと やってるうちに、もう日も暮れぬ。予讃線で西へ西へ。さて、今夜の泊まりは、豊稔池堰堤(ほうねんいけえんてい)のある観音寺(かんおんじ)市。小じんまりとした藤川旅館は、うどんさんの西讃の定宿。一泊二食で ごっせんえ~ん(5.000円)♪ 宮史郎の歌に出てくるような 家庭的な宿だ
「当館の宿泊料金は安く,お仕事の拠点・四国八十八カ所巡りやご家族の旅行等,何にでもご利用いただけます。」
と、HPに書いてあったのが、気に入った。「安く」は赤字の太字書き(原文のママ)。
洗濯機・乾燥機有ります。洗濯無料、乾燥機15分100円。旅する身には ありがたい。
(観音寺市にある創業明治40年の老舗・山地蒲鉾(やまぢかまぼこ)が作る「カワジャン」。
パリパリに焼いた鶏皮とささがきにしたゴボウをすり身に練りこんでいる、そうですぅ。1個380円)
夜。安焼酎を飲みながら、旅の短歌を何首か詠む。つまみにしようと思っていた「山地(やまぢ)のカワジャン」は、ギャンブルによる経済破綻のため、忍びがたきを忍ぶ。という訳で、かあちゃん、今夜もカラ酒だ。カラ酒だけでも、歌なら詠める。最初に詠んだ歌は、こう。
七宝見えず 稲積も見えず 財田川 星ばかりなる香川の泊(とまり)
言わずと知れた尾崎喜八「神流川紀行」のパクリです(-_☆)V
ああ、しかし。東讃を旅していた時とは、勝手が違う。東讃は質朴なれど、かっちりしているので、何をするにも狙いが付けやすかった。西讃は自由度が高い分、意思をはっきり持っていないと、散漫になる。ギャンブル場も、競輪・競馬・競艇と揃っているしね。
(そして、その付近の溜池群)
想って通えば 千里は1里
逢わず戻れば 何とまた千里
船は出ていく 煙を残す
茶屋の娘が 何と出て招く
来たか時次郎 裏へと 回れ
裏は切戸の 何と開けがらす
(香川県民謡「千本地搗き唄」 歌詞聞き取り うどんちゃん)
今は香川県民謡といえば、お座敷遊び歌の「こんぴら船々」ぐらいしか知られていないが、この「千本地搗(じつき)唄」は、香川県に欠かせない民謡だった。ため池造りの作業唄である。地ならしをする時に歌う唄なのだが、歌詞の冒頭から、ご当地妻を想う相聞歌(ラブ・ソング)になっている。溜池造りを生業(なりわい)としていた土方たちは、大阪・兵庫あたりから、鳴門海峡を越えて出向いて来てたんだろう。唄の歌詞から辿っていくと、そんな事も想像できる。これでフルコーラス・6番までの歌詞なんだよね。この唄は「やれどっこいサノサの やれ どっこしょ」と合いの手を入れる箇所が多いから。
昔は、力仕事の現場は「音頭」を唄いながらやっていた。専門の音頭取りがいて、唄を仕切る。人夫は合いの手を唱和し、リズムを合わせてエンヤコラ。5番の歌詞が、いいねぇ。まるで、遠方からこの地に通う、ぼくの憧憬を唄っているようだ***ヾ(≧∇≦)ノ"***きゃあぁあっ♪
(手作業による香川の溜池造り)
んだども、歌と現実はちがうすけよ。あやか様がぼくを待ってる訳がない。ああ・・・讃州風雪ひとり旅。憎い仕打ちと恨んでみても 戻っちゃこない あの人は~♪ どのにいるのか この町の ひと目だけでも逢いたかったよ~♪ わたしが捧げたその人に 亜矢香だけよと縋(すが)って泣いた・・・おねがい私を捨てないで~♪ そのうち「香川の女」っていう演歌でも作るすけ。(おめぇ、民俗音楽研究家だろ?)
つきましてはバカうどん、亜矢香さまの面影を抱(いだ)きつつ、色気はなくとも実力はありそうな讃岐人を捜しては、人脈を作る精進業を昨日も今日も続けるのでありました。
つきましてはバカうどん、亜矢香さまの面影を抱(いだ)きつつ、色気はなくとも実力はありそうな讃岐人を捜しては、人脈を作る精進業を昨日も今日も続けるのでありました。
要人に会うにもスーツになんかに着替えない。うどんさんは子路と同じで、ボロを着てても 全く平気。このへんは高橋延清先生仕込み。香川県庁に出向いたら、応接室ではなく用務員室で待てと顎で言われ、そこで下っ端の公務員に卑下されるなんて、いいねぇ。理想なんだわ。大久保諶之丞は私財の全てを四国新道に投げ打ったため、食事にも事欠き、粗末な服しか着れなかった。新道建設の陳情に赴いた彼が、高知県庁で 受けた扱いが こうだった。偉人がつけた道の後(あと)を辿るに難儀は無い。そしたらぼくは、その公務員に、新・香川水道の重要性を順々と説いてくればいい。
笑わしゃんすな 百年先は
財田(さいた)の山から川舟出して 月の世界へ往来(ゆきき)する
財田幸五郎の『四国にバカがいた』には、諶之丞が内務省の役人から「田舎者のホラ吹きめ」と罵られた時、にっこり笑い、得意の手三味線で こう唄ったと紹介されている。有名ではあるが、この端唄の解説で、感心するものは見た事がない。だから、ちょっと私見を述べる。
さすが、100年にひとりの怪物だね。近代香川の礎を築いた偉父だね。ああ、カラ酒飲んで、すっかり酔がまわってきた。
アホ国家公務員が「田舎者」というのは、「香川県人」の事だ。それを諶之丞は、さらに小さく、「香川県三野郡財田村の村人が」と、歌で切り返す。「財田城から川船を出す」とは、讃岐鉄道の事を言っているのだろう。「月の世界へ往来」の部分は、「讃岐鉄道を本州の山陽鉄道と連結させる」と読める。つまり、これは、100年先には四国と本州を鉄道で連結させる大架橋が完成しているよ、という歌なのである。
それに比べたら、四国新道なんて今の時代(明治時代)でも出来るでしょ。あんたもケツの穴、もっと大きくしんしゃい。ベンベンベン~♪
さすが、100年にひとりの怪物だね。近代香川の礎を築いた偉父だね。ああ、カラ酒飲んで、すっかり酔がまわってきた。
このへんで切り上げます。以上、大久保諶之丞と亜矢香さまが完全なる同一線上に並んでいる完全変態(卵→幼虫→さなぎ→成虫と変態する)のうどんさんでした。香川良いとこ、一度はおいで。オリーブ、手袋、和三盆etc。それでは皆さま、おやすみなさい。
0 件のコメント:
コメントを投稿